「ライジング・ドラゴン」

ライジング・ドラゴン [DVD]
映画の日だったので、つれあいと「ライジングドラゴン」を見てきた。ジャッキー・チェン最後の大型アクション映画…と宣言していると聞いたら、これは見に行かねばならないだろう。
清朝末期、欧米列強により領土を蚕食された中国。その象徴として今でも語り継がれているのが、清王朝離宮円明園から破壊され国外に持ち出された十二支像で、今でも中国への返還を望まれている(これは実話でもある)。その十二支像を取り返すべく活躍するトレジャー・ハンター…というのが、今回のジャッキーの役回り。主人公の駆る車が三菱パジェロであることなども含め、「サンダーアーム」や「プロジェクト・イーグル」といった過去作の役柄の延長線上といった印象を強く受ける。
欧米による文化財の略奪について英国人と中国人の登場人物たちが激論を交わす場面では、ジャッキーが「大昔のことだ、忘れようよ」と間に入っていさめる姿も見られた。

昔の過ちをいまの考え方で裁くのは不可能だよ
今できるのは力をつけることだ

さすがはアジアの平和を願う大スターである。


のっけから全身にローラーブレードを装着し、道路を自在に滑走するジャッキー。とても来年還暦とは思えないが、暦年の古傷が痛んで毎朝目を覚ますほどだという。59歳にしては凄いとは思うけど、やはり全盛期の動きは望むべくもない。
はっきり言って途中海賊の島へ行く場面は映画の先行きが心配になるほどの完全な蛇足だったし、陸海空全てを舞台とするてんこ盛りはいいんだけど、全体として脚本にまとまりは感じられず。それにクライマックスの空中ダイビングも、ショックを吸収するため空気袋を膨らませる…というのは「プロジェクト・イーグル」でもやっていたけど、あんな高度からパラシュートなしに落ちて、無事なわけがないだろう!
ただ、エンディングで、主人公の妻役で本物のジャッキーの奥様がカメオ出演していた。満身創痍の主人公に「あなたお疲れ様」と言って抱きつく大団円は、まさに現実の気持ちに違いない。あのワンシーンを見られただけでも、良しとしようではないか。