「決断の3時10分」

2007年にラッセル・クロウクリスチャン・ベール主演で「3時10分、決断のとき」としてリメイクされた西部劇の、オリジナル作品。もともとは、私の大好きなエルモア・レナードの短編小説が原作らしい。原題の「3:10 to Yuma」というのは、3時10分発ユマ行きの列車という意味。

西部のならず者のボス、ベンが逮捕された。ユマの町で裁判にかけるため汽車に乗せて連行しなければならないが、ベンの手下どもによる襲撃・奪還を恐れて、連行の任を務めようと手を上げる者はいない。そんななか、責任感に駆られて一人立ちあがった牧場主のダンが、ユマ行きの汽車の停車する駅までベンを連れて行くことになる。
ベンはダンに対し、「金をやるから逃がせろ」「お前も殺されるぞ」などと心理戦を持ちかける。ユマ行きの汽車の到着時刻が迫るなか、ついにダンの手下たちが現れて…

ベンを連行する途中でダンの家に寄るシーンが秀逸。苦労の陰が隠せないダンの妻を見て、ベンはダンに「お前と出会う前はもっと美人だっただろうな」と言う。ダンの妻も一瞬、ベンに意味ありげな視線を送る…。


ラスト、「雷が鳴った。雨が降る。すべてが変わる。緑が蘇る…」の台詞は印象的。「七人の侍」ではないが、最後に勝利したのは、たとえかつての美貌を捨ててでも実直に生活する市民たちだったということか。