『アメリカのおいしい食卓』

アメリカのおいしい食卓 (平凡社新おとな文庫)
図書館で見つけて何気なく借りて読んだ。
筆者の徳井いつこさんは仕事の関係でアメリカ暮らし&移動が多い時期があったらしく、各地で出会った光景をもとに、アメリカ人の食にまつわるエピソードをつづったエッセイ集。
アメリカでフォーチュンクッキーを始めたのが実は萩原眞という日本人だったという話とか、ドーナツ産業とカンボジア人移民の関係、コーヒーの泡の量まで指定を迫られるアメリカ人独特の過度とも思われる「選択の自由」の話、大量にサーブされる料理を「シェア」と「ドギーバッグ」で解決する話…などなど興味深く、またパーティーの最大のご馳走は「人」だという話には納得。
私が漠然と「アメリカの食」と言われて思い描く、ハイウェイをどこまで行っても同じようなロードサイドのダイナーで同じように出される薄いコーヒーとベーコンエッグ、パイ…といったイメージについても、こんな風に書いてあったのを読むとなるほどと思わされた。

食の保守性という点では、アメリカ人の右にでる者はいないのではあるまいか。定型と反復。すなわち「どこにいても変わらぬ味」が、彼らの理想なのだ。

ここにアメリカグローバリズムの原点がある、といったら大げさだろうか?