「平清盛」あれこれ

8日から始まった今年のNHK大河ドラマ平清盛」について、天皇家を指す台詞で「王家」という表現が使われたことについて、一部ネット上で「天皇は王ではない」とか「皇室と呼べ」とかいろいろとかまびすしい。
でもあの「王家」という言い方は、黒田俊雄氏の「権門体制」説の引用(パクり)かな…というのは、日本の中世についてちょっとでも勉強したことがある人なら、おそらく誰でも連想することだと思う。つい最近そのあたりの時代について本を数冊読んだ程度の私でも、全然違和感を感じなかったけど。
権門体制論は院政武家政権、寺社がダイナミックに入り乱れた平安末期を説明するのに一つの視点を与えた学説。今回の脚本家はその辺を読みこんだ上で、それを台詞に織り込んでいるのだろう。ちゃんと勉強している証拠だと思うけど。
追記:この件に関しては、後にこんな記事が出ていた。非常に分かりやすく説明されていると思う。 大河ドラマ「平清盛」における「王家」をめぐって


あと兵庫県知事が初回放送を見て、「うちのテレビがおかしくなったのかと思うような画面だった」と述べたという報道があったが、これもよく意味が分からない。
これはきっと平安京がことさら汚く描かれていたことを指しての発言だと思うが、実際この時代は何度も飢饉や災害に襲われて都は相当疲弊していた、というのは鴨長明の『方丈記』あたりにも出てくる。
清盛も都がそういう末期症状だったのと、旧弊の院門体制を打破したかったのとで、いまの兵庫にあたる福原遷都したわけだろうから、そっちが日宋貿易の拠点となる未来志向の都市として描かれていれば、港町神戸のルーツとして何にも悪いことはないと思うけど…?