平清盛

一昨年に一年間かけて吉川英治の『新・平家物語』(全16巻)を通読して以来、個人的に放送開始を心待ちにしていた今年のNHK大河ドラマ平清盛」が今夜から始まった。
保元・平治の騒乱あたりの時代は、まさにその吉川英治の小説を原作にした「新・平家物語」(1972年)をはじめ、古くは1966年の「源義経」、「草燃える」(1979年)、「義経」(2005年)と何度か取り上げられている。大河ドラマ51回の歴史のなかでこのピリオドだけで5回目というのは、比較的多い方なのではないだろうか。
私がこの時代に注目しているのは、別に清盛が好きなわけではなくて、もともとは日本最初の武家政権と言われる鎌倉幕府の成立時期だから。その後約800年に渡って続いた武家社会の、原点がここにあると思うからだ。その意味で、今夜のドラマが、頼朝が「武士の世を作ったのは清盛」と振り返るところからはじまるのは割と気に入った。


ところで今回の主人公である平清盛という人物のキモは、あくまで都の(既存の)官位制度のなかでのし上がっていったところ。源頼朝が鎌倉に朝廷とは全く別個の(新規の)権力体系を築いたのとは対照に。“海賊”清盛がなぜ朝廷に取り入られた(取り込もうとした)と説明するのか、そこは個人的にも興味深いところ。
私の中の清盛像は、どこか島耕作にイメージが重なるのである。組織の中でこそ大きな強みを発揮するが、アントレプレナーとしてはあまり手腕が無さそうな感じ。