『ひとり飲む、京都』

ひとり飲む、京都
「気持ち悪い本、読んでるね」とつれあいに揶揄されながら、読み終えた。
先日京都へ行ったとき、ふらりと入った珈琲店がミニマムで斬新な内装のお店で、気になってネットその評判を調べていたときに、「太田和彦の本に紹介されたせいか知らないが最近ちょっとイキってる」などと書き込まれていた、これがまさにその本。図書館で探し出して借りてみたのだった。


その筋では有名な居酒屋探訪家の太田氏が、「どこか遠くの町にひとり住んでみたい」という願望を叶えるべく、「せめて一週間、単身で一つの町に住んでみよう」ということで京都のホテルに初夏と冬にそれぞれ七日間連泊し(この発想自体が貧乏臭くて私にはちょっと共感できなかったのだが…)、観光客向けではなく地元の人々に愛される居酒屋やバーを夜な夜なはしごした記録。
無論これまでも何十年にもわたり仕事や旅行で訪問しているのだろうが、「出張などで来て久しぶりに座るのではなく」居酒屋にひとり腰掛け飲むのが、良いのだという。昼前に起きてのんびりと昼食をとり、午後はぶらぶらとして夕方昼寝から覚めておもむろに居酒屋に向かい、3,4軒のはしごをしてホテルに帰着。確かに集中的に回ってはいるけれど、しかし一週間やそこら滞在して京都の町に溶け込んだ気分になっている…というのが、なんともおめでたく感じられる。
無論、本書で紹介されているお店の数々に罪は無いのだが、本書を読んでいると、京都という町は、平安の昔から放っておいてもファンの方からやって来る町だから、ちょっと楽をしてるのではないかと思えてくる。
ま、何軒かについては私自身も次回の上洛時に行ってみようかと思いながら読んでたわけだけど。