祇園:山ふく

宵山四条通、とくに長刀鉾のあたりが大混雑。殺気立って怒号が飛び交っていた。「この子だけは助けてあげて!」と叫ぶ母親など。
しかし通りを一本入れば意外と人影が途絶える。みんな大通りを歩かいでもいいのに。混雑を避けて祇園方面へ。お目当ては無論、「山ふく」である。途中友人たちと合流して、「座れるかな〜」と思いつつ扉を開けると意外と空いていて助かった。祭りの夜には、こういう店は帰ってエアポケットのようにあいているのかもしれない。



2005年10月17日の日記にも書いたとおり、この「山ふく」というおばんざいのお店について、私は作家の山口瞳さんのエッセイ集『行きつけの店』(asin:4101111294)で知った。以来、京都を訪れるたびにほぼ毎回寄せてもらっている。
お店のお母さんもご健在で、今日は焼きなす、なす田楽、花くらげ、冷奴、子持ししゃもなどをアテに、ビールと冷酒を酌み交わした。もう閉店近くの時間になったせいか、お母さんが「他のお客さんに内緒よ」と言ってさば寿司とだし巻き玉子をそっと渡してくれたのは嬉しかった。
我々より先に入っていた老人たちがやがてお勘定に立ち、「一人ずつばらばらに勘定させてくれ」と言っているのが耳に入った。そのうち一人は、なんと漬物だけで300円を支払っていた!