『宜保愛子の心霊教室』

宜保愛子の心霊教室

宜保愛子の心霊教室

お盆だから…というわけではないし、そんなにしゃかりきになって読むのはどうかと自分でも思うのだけれど、図書館で見付けた宜保愛子さんの著書をとりあえずもう一冊読むことにした。
本書は雑誌『ムー』1988年2月号から1991年7月号までに連載されていた、読者の心霊体験を宜保さんが診断する体裁の、いわば読者相談コーナーをまとめたもの。
読み始めてから思い出したのだが、何を隠そう私はこの連載をリアルタイムで読んでいたのだ。当時父が『ムー』を買っていて(それもどうかと思うが)、幼い私は怖いもの見たさでこの連載を読んでいた。何が怖いといって挿絵のおどろおどろしさに心底震えたのをいまだに覚えているのだが、残念ながら単行本には挿絵は一切収録されていなかった。読者投稿自体は(今読めば)そんなに怖い内容ではないし、これでは読むだけ時間の無駄だったかも。


それにしても本書でも宜保さんの誠実さは随所に見られた。「奇異な出来事がすべて霊的な体験とはかぎりません」とし、ある不思議な体験を綴った投稿には、それは肉体的疲れからくる金縛りに過ぎないとさえ言っているのには少し感心した。
あとがきにもこんなふうに書いている。

 読者から寄せられる体験談を数多く読んで、非常に考えさせられることがあるのです。それは、どの方も自分の体験していることが、すべて霊の仕業ではないかという考えを持っていることです。しかし、霊による障害というのは、非常に少ないものです。
(中略)…私がもっとも皆さまに訴えたいことは、自分たちの努力、これが何といっても一番大切なものだと思います。社会生活においても学校生活においても、自分の従事している職務や学校や家庭を、より大切に、向上するよう勉強してみてください。その中に、われわれの身近にいる霊たちの力ぞえがあったなら、どんなに幸せかと思います。

例によって言っていることは至極真っ当なのである。