『李賀詩選』

李賀詩選 (岩波文庫)
李白は「天才」、白楽天(居易)は「人才」、そして「鬼才」と称されたのが本書で紹介されている李賀。同じ唐代を代表する詩人でありながら前の二者ほど日本では有名ではないが、そういえば沢木耕太郎が『深夜特急』の旅に日本から唯一持って行った本が李賀の詩集だった…ように記憶している。
「鬼(中国では霊魂のことを差す)」と言われるだけあって、この人の詩は月や星、仙女など怪異なことに題材を取ったものが多い。桂の木がしばしば詩中に出てくることに気付いたが、これなども押韻や平仄の取りやすい字だからでもあるのだろうけれど、仙人が住むという月世界の木とされていたため(「月桂樹」)、好んで詩の題材としたのだろう。
とある目的で読み始めたのだが、丹念に文字を拾いながら通読して、何かを得たような、得ていないような。