冬はつとめて

…雪の降りたるは言ふべきにもあらず。


新潟市内はこのところずっと雪降りが続いているが、ドカッと積もるような雪ではない。さらさらの雪が、強い風にあおられて地吹雪となって地上を這う。風と自動車のタイヤに磨き上げられた路面は、ツルツルに凍結している。
私の郷里の金沢では、冬は融雪装置のせいで道路が水浸しになっていたものだが、どういうわけか新潟ではあの道路の真ん中の噴水みたいな装置があまり見られない。地元の人にその理由を尋ねると、新潟の市街地は阿賀野川信濃川に挟まれた中州地帯で、「新潟島」という言い方があるほど。さらに油田や天然ガスの採掘などによって地盤が非常に弱くなっているらしく、このうえ融雪装置に使うための地下水をくみ上げることはできないのではないか…とのことだった。
分かったような分からないような。


雪といえば、私は雪かきのあの「やればやっただけ報われる」感が割と好きだ。雪をどかすことで道路がだんだん姿を出してくる、あの感じ。擬似的に開拓者の気分に浸れる。
そういう意味では、雪かきをするたびに思い出す「文化的雪かき」なんて言葉*1とは、実は正反対の気分を味わっているわけだ。
もちろん雪はどかしたそばから降り積もり、すぐまた雪かきをしなければならない。雪かきに果てはない。でもこの達成感と無力感、これこそフロンティアスピリットの原点じゃないだろうか(大げさ)。
ということで私は、会社でも文化的雪かき仕事に精を出しつつ、フロンティアスピリットを無理から探しているのかもしれない(これも大げさ)。


【追記】
何でも書いてあるwikipediaに、「道路の真ん中の噴水みたいな装置」についてこんなふうに書いてありました。

この装置は、柿の種で知られる新潟県長岡市の浪花屋製菓の創業者である今井與三郎が、周囲には雪が積もっているにも関わらず、地下水の滲みだしている箇所にだけ雪がないことに目をつけ、考案したとされる。
消雪パイプ」、「消雪管」、「融雪管」などの名称が新潟県内ではよく用いられているが、北陸地方などでは「融雪装置」といった場合この消雪パイプを指す場合が多い。
発祥の地である長岡市をはじめ、長野県北部、北陸から東北の平野部で雪の多く降る比較的気温の高い地域でよく見られるが、北海道や山間部など、気温の低い地域では、消雪水自体が凍ってしまうため、路面に埋設された電気ヒーターや温水管を熱源とすることで融雪する、ロードヒーティングが多く用いられる。
…しかし、この消雪パイプは多くの弊害も生み出した。最も顕著なものが地下水の汲み上げ過ぎによる地盤沈下であり、一部の地域では深刻な問題となっている。
消雪パイプ - Wikipedia

あれって「消雪パイプ」というのが正式名称だったのか…。