育児休暇・まとめ

この春先から約10ヶ月にわたり育児休暇を取得して、手探りで育児と主夫業に専念してきたわけだが、職場復帰を数日後に控えた年の終わりにあたり、育児休暇生活の感想を書いておこうと思う。
全体としては、息子ともべったりできたし、料理や家事などなかなかできない経験ができて、なおかつちょっと一息ついて人生を考えることもできた充足した一年だった。
しかし育児や家事自体は、これはまあ世間一般のお母さんが普通にやっていることをちょっと体験しただけとも言えるので、問題は今後の生活態度にどう活かしていくかだと思っている。
結局のところ、育児休暇という制度を利用するかどうかが問題なのではなく、自分が人生のなかで育児や家事とどう関わっていくのかが問題なのだと思う。


【良かったこと】

  • 息子と仲良くなれた

一日中一緒にいたのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。今ではすっかりパパっ子になってしまい、何か悲しいことがあると私のところへ駆け寄ってきて抱きついて泣く。寝るのも私と一緒。つれあいが抱っこしたり寝かせようとすると嫌がる。
結局母性とは性別について回るものではなくて、生活習慣によって形成されるものなのかもしれないなあ…と、ジェンダーについてちょっと考えさせられた。息子の人生に、このことがどういう影響を与えるかも興味深い。

  • 料理に抵抗感が無くなった

一人暮らしのときにやっていた料理なんて、ほとんど料理とは呼べない代物だったので、実質的には今年がちゃんと料理を始めた最初の年。当初は食卓で苦い顔をしていたつれあいも、途中からは「上手になった」と褒めてくれるようになったのが嬉しい。
今でもレシピを見ながらおっかなびっくり作っているのだが、苦手意識が無くなったのが何よりの収穫。今後も折を見ていろんな料理にチャレンジしていきたい。

  • お茶の稽古をはじめた

育児とは関係ないのだが、気晴らしにはじめたお茶の稽古に、思いのほかハマってしまった。お稽古自体の環境はまあまあだったものの、図書館や本屋でお茶や茶道具、禅などに関する本を探しては読んでいく中で、すっかり魅せられていった。
あと、お茶のお稽古に一緒に通っていた人たちと仲良くなれたのはよかった。これまで縁もゆかりも無かった鳥取で、唯一の友人が作れたので。


【思うようにいかなかったこと】

  • もっと勉強ができるはずだった

休暇に入る前には、「この一年間であれも勉強してこの資格も取って…」とあれこれ考えていたのだが、実際にはそんな暇など取れなかった。
これは言い訳ではなくて、育児の合間には細切れには時間が取れるのだが、まとまって何かに取り組むことが難しいのだ。息子が寝ている間に勉強しようと思っても、集中してきたところで泣き出したり、夜になるとヘトヘトになって読書どころではなくなっていたり。
結果、当初の目標にしていたことの10分の1も達成できなかった。僅かに某検定試験に合格したのが慰めだが、それも最初の目標の一つ下のランクにとどまった。
もっと暇があると思っていたんだけどな〜。

  • 貯金が無くなった!

私は息子が満一歳になってから育児休暇を取ったので、諸々の手当てや補助が貰えず、一年間無収入でなおかつ住民税等を取られていた。
そのくせフィンランドに3週間旅行したり、東京から鳥取に引っ越して新生活をはじめたりしていたので、つれあいの収入があったものの貯金をだいぶ使ってしまった。あらかじめ分かっていたこととはいえ、結構痛かった。

  • テレビばっかり見るようになった

子供の相手をしながら、掃除をしながら、食事の準備をしながら…とにかくテレビを見ることが多くなってしまった。息子とは教育テレビばっかり見ているので、「おかあさんといっしょ」とか「いないいないばあっ!」とか「にほんごであそぼ」、「えいごであそぼ」、「クインテット」といったいわゆる「わんパーク」の番組の歌や踊りが常に頭の中で回っている状態。
まあいいんだけど、テレビばっかり見るのもアレなので、今後は自粛していこうと思う。


【そのほか雑感】

  • 育児・家事周りは女性向けに作られている

ベビーカー、子供用の着替え台、台所のシンク、掃除機等々、育児や家事の道具は女性の身長にあわせて作られているものが多いので、特に日本製のものは男性にはちょっと使いづらい。我慢して使うのだが腰が痛くなってしまう。これまでそれに気が付かなかったということは、いかに育児や家事に参加していなかったかという証拠なのだが…。
あとデパートなどで子供の着替え台が女性トイレ付近にしか無いときも往生する。

  • 実は男のほうが家事・育児に向いているのではないか

家事も育児も力仕事の側面があるので、男の人のほうが向いているのかもしれないと思った。子供を連れて外出するのなんかも、男だったらベビーカーを抱えて駅の階段を上り下りすることもできるけど、女性には大変だと思う。掃除とかも本気でやったら結構力がいるし。
デスクワークは女性に任せて、男は家庭を守ったほうがいいのかもしれない。

  • 田舎で暮らして

一年間鳥取という日本で一番人口の少ない県で暮らしてみて、なんか地方の衰退について思いを馳せることが多くなった。
これまでは「都会に人口や産業や文化が集中していてもいいじゃん」とか「地方にいたってネットがあれば何でも見られるしショッピングもできるからいいじゃん」とか思っていたが、こうまで衰退が激しいのを見ているとそんなことも言っていられない。
国土が東西に長く山あり海ありで本来千差万別の地域差を抱えてきた日本の伝統文化が、地方の衰退とともに本当に一気に無くなっていく(均質化していく)感じがする。それは非常にもったいないことだと思う。
あまり深く考えてないのでアレだけど、これは何か抜本的な対策が必要だと切実に思う。

  • 家族の時間を大切に

何だかんだいって家庭の仕事は大変だ。
会社でバリバリ残業して夜は飲み屋のハシゴ…なんて生活がいかにバカらしいか、よく分かった。「家族の時間を大切に」なんていうのはこれまでも頭では思っていたことだが、今後は本当にそうしていきたい。