文庫本のカバーは手作りの時代へ

人間失格 (集英社文庫)友情;初恋 (集英社文庫)こころ (集英社文庫)銀河鉄道の夜
この日記で何回も取り上げている、今年の集英社の「ナツイチ」キャンペーンで行われた、期間限定カバーの試み。蒼井優バージョンの3冊を買ってしまった私も私だが、小畑健が表紙絵を描いた太宰治の『人間失格』も、かなりのペースで売れているらしい。

 太宰治の代表作「人間失格」の表紙を、漫画「DEATH NOTE(デスノート)」で知られる人気漫画家、小畑健さんのイラストにした集英社文庫の新装版が6月末の発行以来、約1か月半で7万5000部、古典的文学作品としては異例の売れ行きとなっている。
(中略)
 文芸作品と人気漫画家のイラストという異色の組み合わせはインターネット上でも話題になり、「このコラボ(共同作業)はすごい。カバー買いしました」との声も出ている。同文庫編集部は「コミックを読む層が興味を示しているようだ。若い読者に手にとってもらえれば」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20070817i514.htm

いわゆる「ジャケ買い」というやつ。
昔からの太宰ファンには「なんてミーハーな!」と憤る方もいるかもしれないが、出版業界的には、どんな人がどんな目的で買うのであれ売れてしまえば文句はないわけで、これからこの手法は各社に飛び火していくと私はにらんでいる。古典作品や文芸作品の(表紙だけ)ライトノベル化とでも言おうか。


…と考えていてふと思ったのだが、そんなにアイドルや人気漫画のカバーが欲しければ、出版社がコラボするのを待つまでもなく、自分で表紙カバー作ってしまえばいいのだ。
ネットでお気に入りの画像を拾ってきたり、あるいは自分で撮った写真データを使って、しかるべき位置に書名や著者名、出版社名、凝る人ならISBNコードやバーコードなんかの情報を適当に書き込み、プリンタでそこそこしっかりした紙に印刷して、文庫の正規のカバーを取っ払って付け替えてしまえばいいのだ。オリジナル表紙のできあがりである。本当はここにPP加工を施したりすれば、水で色落ちの心配もなくなるのだけど、まあそこまでは。
自分の顔を表紙にした『人間失格』とか、知人の顔写真をフィーチャーした『もてない男』とか、ペットの猫を表紙にした『我輩は猫である』とか、作りたい人もいるだろう。あるいは統一感の無い本棚の文庫本たちを、一斉に同じデザインの表紙にして架空の「世界文学全集」にしてしまうとか。そうなると背表紙もジャンプコミックスの「こち亀」みたいに連続した絵にしたり。
気のきいた誰かが、WEB上で画像のアップロード&加工ができるフォーマットをサイト上に公開してくれれば楽ちんなのだが…。あるいはPP加工まで入れて仕上げてくれる業者があればいいのに。「誕生日や記念日などのプレゼントに、オリジナルカバーをどうぞ」…的な商売、誰かやらないかな。


【参考】
ブックカバー無料ダウンロード「本の洋服屋」
http://chobitt.com/book/