一澤帆布の内紛

帆布を利用したシンプルなデザインの手作りカバン類の製作でファンの多い、京都の「一澤帆布」さんが、骨肉の争いで泥沼状態らしい。

 手作りの布製かばんで人気の「一澤帆布工業」(京都市)で一日、工場明け渡しが強制執行され、生産中止に追い込まれた。創業家長男の信太郎氏と四男の喜久夫氏側が仮処分を申請し、京都地裁が認めたもので、前社長で三男の信三郎氏がミシンなど生産設備も撤収して明け渡した。信三郎氏は従業員を率いて新会社による生産再開を目指している。
 同社では前会長の故信夫氏の死後、長男と四男が同社の全株式を相続するとした内容の遺言状が発覚。信三郎氏が無効を求め提訴したが、〇四年最高裁で受理されず、敗訴が確定した。
 同社は一九〇五年創業。厚手の布地ですっきりしたデザインのバッグが若い女性に人気。銀行員暮らしが長かった信太郎氏に比べ、信三郎氏は八〇年に勤め先を辞め家業に入り、父と二十年以上経営に当たってきた。
(「日経MJ」3月3日記事)

「遺言状が発覚」とか「銀行員暮らしが長かった」とかの表現に、なにやら私情が差し挟まれた感もある記事。「ミシンなど生産設備も撤収」というのも、がらんとした工場の姿が目に浮かぶ。…京都が舞台の話だけに、山村美紗とかのミステリーのようだ。


10年以上前、京都に住んでいたことがあるのだが、そのとき以来ここのカバンのファンだった。こういう話を聞くのは、愛好者として嫌な気分だ。

一澤帆布加工所
http://www.ichizawahanpu.co.jp/