「イン・ハー・シューズ」

昨日、疲れたので午後から休んで有楽町で映画「イン・ハー・シューズ」を見に行きました。上映していた有楽座では、映画のタイトルにちなんでこんな(画像)シューズを飾ってました。モデルの石川亜沙美さんらがデザインしたものだそうな。


映画は、弁護士として成功したものの自分の容姿にコンプレックスを持つ姉・ローズ(トニ・コレット)と、抜群の容姿ながら難読症でまともな仕事につかない妹・マギー(キャメロン・ディアス)の姉妹の物語。
美人でおバカな女性を演じることが多かったキャミーさんですが、今回はそれを逆手に取ったような配役。さすがに最近お肌が疲れてきた感じですが(失礼)、そこが「容姿だけではごまかせなくなってきた人生」*1を体現しているようで、これは見事なキャスティングだったと思います。


タイトルの「シューズ」はもちろん靴のことですが、「生き方」の比喩でもあります。自分に合った靴(生き方)を探せばいいのだよ、と。
しかしなんで女の人って靴に目がないのかな? ローズは「靴を買っているときだけ自分を忘れられる」みたいなことを言って、クローゼットの中に履きもしない大量の靴を並べてました。
靴に目がない女性…といえば、「Sex and the City」の主人公キャリーが思い浮かびます。あの人も相当な中毒でしたね。そういえば、「イン・ハー・シューズ」のなかでも、「Sex and the City」の一場面が使われてました*2。どのシーズンの話か忘れましたが、シャーロットが「濡れないなら潤滑油を塗ればいい」とか言い放つ場面。


そんな靴大好きなローズも、あるきっかけで弁護士のキャリア街道を下りて、犬の散歩師を始めるようになってから履いているのは、ニューバランスのスニーカー。犬と一緒にフィラデルフィア美術館の階段を駆け上がって、「Yes!! Yes!!」と快哉をあげる場面は、「ロッキー」の有名なシーンの再現ですね*3


この映画で笑いや涙を誘ったのは、トニ・コレットキャメロン・ディアスというよりも、姉妹の祖母役で出ていたシャーリー・マクレーンをはじめとする、老人たちの演技でしょう。年寄りをダシにするなんてちょっと反則気味だとも思うけど、死が近いことを笑う自虐ネタとか、笑えました。


個人的には今年見た映画の中で、一番いい映画でした。

*1:作中ローズがマギーに言った名言、「中年のアバズレはかわいくない」。

*2:おじいちゃんおばあちゃんたちが、ケーブルテレビでSATCを見ながら、コスモポリタンを飲んでました(笑)。この映画もSATCも、同じ20世紀FOXグループのものですからね。

*3:これは「ロッキー」の有名な場面へのオマージュというよりは、ローズという役柄自身が「ロッキー」という映画を見たことがあって、それを真似している…という演技だったのでしょう。