急急如律令

自分の世代より上の人たちには半ば常識でも、若い世代には一切通用しない言葉とか事象。いろいろあると思うんですよ。
数年前、中学生に「甲子園になるといつもかかるあの歌、何なの?」とか聞かれて、それが「タッチ」の歌を指していることに気付いて愕然とした覚えがあります。彼らはタッチを知らないのです。タッチを知らない子供たち…。いや、そんな大げさなもんでもないけど。


そういう系統の言葉で、今朝急に思い浮かんだのが「急々如律令」。これは知らんだろ。…っていうかそもそもマイナー?
霊幻道士』とか『孔雀王』とかで出てきた、道士(道教の坊さん)が悪霊を追い払うために貼る御符に書いてある、あの言葉です。キョンシーの顔に貼る、あれ。
知らなきゃ知らないでいいんですけど、まあ実際に道教の御符には、こう書かれているわけです。それが、冷静に考えると凄いなあと思って。
つまりこれは「律令のごとく速やかに!」という意味であって、中国でいかに法律が重んじられていたか、庶民にまで浸透していたか、という一つの証左といえるかも。まあ実際に守られていたかどうかは別の話として。
たとえば、現在の日本でスピード違反の切符とか税金の請求なんかに「法令に従い速やかに納付すること」って書いてあっても、まあこっちの都合ってもんもありますわな。
悪霊さんのほうも、表向きは速やかに退散しても、案外「まあええがな」とか言ってその辺をウロウロしていたのかもしれませんね。