『百鬼園随筆』

ISBN:4101356319
内田百輭・著。この人の著作を読むのは初めて。
日常のふとしたことを描いているのに、どこか幻想的な語り口。虚々実々の随筆が真骨頂と言われているようですが、それもわかるような気がします。
面白く読んだのは、借金がどうしてもやめられない男(筆者がモデルなのでしょうか)の話を書いた一連の作品。
逆に高利貸しの取立て屋の立場から書いた短編もあって、それもリアルでしたね。
利息を最初から差っ引いて貸すのは、昔も今も同じなのですね。三百円借りようと思ったのに、利息の前払いをすると二百五十円も手元に残らない。手元に三百円残すには、まず四百円を借りなければならない…。
借金は怖いですね。『ウシジマくん』の世界だ。


ちなみにこの新潮文庫版のこのカバーの絵は、なんと芥川龍之介の筆によるもの! この鼻から出てる渦巻きは何なんだ(笑)。シュールすぎ!