『土の中の子供』

芥川賞受賞作。全文掲載されている文藝春秋誌で読む。
選考委員たちの講評が、いちように「今回の候補作は低調だった」と嘆いているのが笑えた。じゃあ誰がこの作品を推したんだ! それでも選ばなきゃならないのが、出版業界の悩ましいところなのか。
実際、この受賞作もちょっと物足りなかったなあ。幼少のころの虐待の記憶、目的の持てない日常、死産をしてから不感症になった彼女、自分を捨てた親の来訪…なんかどこかで聞いたことあるようなモチーフばかり。といって、文体が新しいとかそんなわけでもなく。