『高校生の正しい夏』

1989年発行の、岩波ジュニア新書。その後シリーズ化された形跡はないので、これが最初で最後の「正しい夏」だったのだろう。岩波書店編集部・編。
なんでこんなものを持っているかというと、昨年大島に日帰りで行ってきたとき*1、時間調整のために立ち寄った大島図書館で、「不要になった本です、ご自由にお持ちください」と並べてあったのを、持ち帰ってきていたのだ。ちなみにもう一冊、『マガーク少年探偵団』*2の本も持ち帰った。


著名人や各分野を代表する人が書いた、「高校生にはこんな夏を過ごして欲しい」というエッセイのアンソロジー。
「岩波」の「正しい夏」なんてエライ堅そうに思えるが、内容はそれなりにアヴァンギャルド。執筆陣でいうと、まず巻頭を飾るのは中島らも内田春菊吉本ばななの対談、アグネス・チャンの香港時代の思い出、大槻ケンヂのバンド少年時代、片桐はいりの学生時代、土井たか子インタビュー、おすぎの名画漬けのススメ、ケラ(現ケラリーノ・サンドロヴィッチ)の観劇のススメ、水玉蛍之丞のマンガ「いろんなかっこをしてみよう」などなど。
高校生がさまざまな体験をした話も収録。ヒロシマへ被爆者の話を聴きに行った話とか、京都駅のホームレスと一夜を過ごした話とか。さらに突っ込んで「生身のゲイを知ってほしい」「“おいしいバイト”はおいしいか」なんていうエッセイも。


89年といえば、私は中学生。いま読むと興味本位で面白いが、当時の私のような現役中高生が読んでも、「すかしてやがる」くらいにしか思わなかったのではないだろうか。青少年向けのジャンルの難しさだ。
いまもし「正しい夏」を編集するとしたら、誰に執筆依頼するだろうか。とりあえずマンガは山咲トオルさんに描いてほしい。カルロス・ゴーン氏に「夏休みの計画表のリストラクチュア」を、飯島愛さんに「それからのプラトニック・セックス」論を、アントニオ猪木氏に「肉体に宿る健全な精神」論を、ムツゴロウさんに捕鯨を、タモリ氏に地球温暖化と明日の天気*3を説いてもらう。…などと内容を想像してみると楽しい。

*1:2004年12月14日の日記参照

*2:小学生のとき、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズと並んで、よく読んだものです。最近では文庫で復活しているようですね。ダガジグ ダガジグ ブンチャッチャ…

*3:なんかいつも「テレフォンショッキング」の前フリで天気の話してません? ex.「今日はこれから雨になるそうですよ」「そうですね」