『熔ける 大王製紙前会長井川意高の懺悔録』

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録
2011年に会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕された、元王子製紙会長の井川意高氏。子会社から実に106億円ともいわれる無担保の借り入れを行っていたとされ、そのほとんどをマカオのカジノで「溶かして」いたと報道されたのも記憶に新しい。
普通の暮らしをしている人たちにとっては「どうやったら100億円も?」と衝撃を受けただろうが、一時ギャンブル依存症について調べていた*1私に言わせれば、ギャンブルの泥沼にはまれば資金はあればあるだけ溶けてしまうものだと理解できるし、井川氏の場合は自由になる金の桁が常人とは違っていただけのこと。それと、この場合の「106億円」というのも、事が発覚した時点での借入金額であって、ギャンブルというのは凹凸(勝ち負け)があるものだから、おそらくカジノでの賭金総額は1,000億円を軽く超えていると想像する。
2013年6月に最高裁で有罪判決が下され、懲役4年の実刑が確定となった井川氏(だから現在はどこかの刑務所で服役中だと思う)が、反省を交えながら「どうしてマカオのカジノにはまってしまったのか」を本書で述懐している…と聞いて、ギャンブル依存症のサンプルとして興味を覚えて読んでみた。


生い立ちから家族のこと、会社のこと、経営者時代のエピソードなど、自己分析を交えていろいろと書き連ねてあるのだが、まず思ったことは、大人になり切れていない甘い性格が端々ににじみ出ているなあ…ということと、負けず嫌いで真面目な性格が、依存症に陥り入りやすい典型的なパターンだな、ということだった。