奥州市:瑳山(さざん)

入学式が終わって、所用で単身岩手まで。イーハトーブは普通に粉雪が舞っていた。胆沢とか前沢とか江刺とか水沢とか平泉とか、みずみずしい地名ばかりの胆江(たんこう)地区ではある。きっと昔は沢と原生林に覆われた土地だったんだろうな。いまやそれらが合併して「奥州市」と称している。世界遺産おめでとう。


遅くに駅について、さて何か食事を…と思って見回すと「十割そば」ののぼりが見えた。蕎麦が売りの居酒屋のようだ。
正直あまり期待しないで店に入ったら、どうも喫茶店か何かを居抜きしたような内装だった。とりあえず銀河高原ビールと冷奴を頼み、店のテレビで流れるゴルフチャンネルでサウスポープレイヤーのティーショットを眺めながらちびちびと。

むむ、やっこが…堅い! が、醤油を出汁で割ってあるのに静かな感動。この時点ですでに、この店のためだけに、もう一度岩手へ来てもいいと思った(まだ蕎麦は食べていないが)。たまらず日本酒を追加。

店名にちなんで岩手・二戸の銘酒「南部美人」を。このお酒はJALの国際線ファーストクラスでも饗されるそうで、メニューには英語で「Southern Beauty」と表記されているとかいないとか…。
そして満を持してせいろを注文。

この細さ(機械切りだとはいえ)、そして白さ! とても十割蕎麦とは思えない! やや甘みがかったつゆにつけてひとすすり、ふたすすり。うーむ…。個人的な好みから言うと、もう少し蕎麦の風味が強く、そしてつゆももう少し辛くてもいいと思うのだが、十割なのに更科のごとき麺は、これはこれで素晴らしい。