Welcome to Yamanashi

昨日の日記で紹介した、滝本誠氏の『美女と殺しとデイヴィッド』という本。
せっかく本棚から引っ張り出したので、懐かしくてパラパラと読んでいたら、こんな衝撃画像を再発見!
これは、滝本氏が当時「有楽町駅のトイレから出たところで遭遇した」という山梨県の観光ポスターです。男の背後にある看板に「WELCOME to YAMANASHI Population 862,976」とあります。
元ネタとなっているのは、こちらの画像(サントラのジャケットより)。
Twin Peaks (TV Soundtrack)
ドラマのオープニングで使われていた、舞台となる町「ツインピークス」の入り口に立つ看板ですね。


上の山梨県のポスター、わかる人は見ただけで爆笑ものなのですが、ピンとこない方に説明しておくと、かつてデビッド・リンチ製作の『ツインピークス』というテレビドラマがあって、本国アメリカではもちろんのこと、日本でも一大ブームとなったことがありました*1
そんなブームは広告業界にも波及し、缶コーヒーのジョージアのCMにもツインピークスの面々が登場したり、「ツインピークスの舞台となった土地を巡るツアー」なんてのを旅行代理店が企画したり。「冬ソナ」ブームの先駆けみたいなもんでしょうか。
で、このポスターはそんなツインピークス狂乱の徒花みたいなものなのです。


何が面白いのかというと、あろうことか作中で人々を暴力に駆り立てる諸悪の根源的存在として登場する男「ボブ」が、「おいでませ山梨」と不気味に微笑んでいるという、もうこの広告自体が強烈なブラックユーモアになっているわけで、果たして当時の山梨県の観光担当者がそこまで理解して英断(?)を下したのか、それとも何も知らずに電通の「いまツインピークスがアツいんですよ!」という口車に乗せられただけなのか…。
日本語をよくわからない外国人が、「It's cool!」とかおだてられて「粗チン」などと刺青を入れて得意になっているような、そんなペーソス溢れるシュールな広告になっているのです。…と書いてしまうと面白くもなんともありませんが。

*1:私も熱烈なファンでした